「就活はバカヤロー」なのか? とある新書の感想(公開制限付き)

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今日、本屋さんでついついタイトルで買ってしまった新書。

http://www.amazon.co.jp/%E5%B0%B1%E6%B4%BB%E3%81%AE%E3%83%90%E3%82%AB%E3%83%A4%E3%83%AD%E3%83%BC-%E5%85%89%E6%96%87%E7%A4%BE%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E5%A4%A7%E6%B2%A2%E4%BB%81/dp/4334034810

これが実に内容がネガティブ視点で客観的要素があまり感じられず、ただただ非常に狭い見方からの私見を一方的に述べるというか、そんな内容でがっかりした。さらには文体が荒いというか、大人げないというか…。

とにかく「今の就活は、おかしい、間違ってる、ばからしい」という強烈な先入観の下で書き始めていると思われるので、逆に今の状況が昔よりも優れている、合理的だ、みたいなポジティブな視点がほとんど見つけられない。とにかく批判ばかり。

この本を読んで思うのは、とにかく「いい例」、「ポジティブ」な例がほとんど全く記載されていないこと。ひたすら「愚痴」をつづり、「こんな学生がいる!→バカだ、アホだ!→バカヤロー!」といった感じである。

正直自分はまともな就職活動はしなかったため狭い視点の持ち主とはいえ、少なくとも本書に書かれている内容は事実のごくごく1部であってすべてではないのは間違いない、という自信はある。

この手の「視野の狭い」人によくありがちな議論だが、とにかく少数のサンプルを拡大解釈して「一般化」する傾向があるが、本書もそういった部類の本といえる。

具体的な「偏見」をあげると、「帰国子女→ファザコン・マザコンが多い」とか、「99%の学生にとって資格は無意味」とか。よくもまあここまで断言できるなと。

そしてなにより、自分自身「学歴コンプレックスはない」的な話をしているにもかかわらず、本書の内容のいたるところで、そのコンプレックスをひしひしと感じのである。これには失笑するしかない。本書中にはなんか見苦しい言い訳じみたことが書いてあるようだが、これまた失笑ものである。

すると、まるで学歴コンプレックスの視点でしか書かれていない書物に感じてさえしてくる。

この手の学歴コンプレックスを持った人の文章の批評は、まあ、、なんというかいろいろあって、ちょっとしずらいが、今日はそうした「視点」でもってあえてしてみる。(が、弱腰なので一応公開制限。)

たとえば、本書の中に東大の「キャリアサポート室」について書いてあるが、その実態をまるで把握していない様子である。おそらく東大生の就職に関するカルチャーを全く理解していないいのは間違いないであろう。少なくともいまどのように活用されているのか、といったことは本書には一切書かれていない。理解できないから仕方ないともいえる。(ちなみに僕が在籍してたころも「就職課」みたいな存在はあったが、実際、当時行ってみたけれどものすごくさびれていた気がする。なので、当然今どうなのか想像することは難しい。むしろ本書で教えてもらいたかったんだけど…)

自分と同じ大学・大学院でまっとうな就職活動をしていた友人たちを見て判断する限り、基本的にはみな大学の情報や巷の噂はあくまでも参考程度に耳には入れるが、最期は必ず自らが考え、調べ上げ、工夫し、オリジナルの就活を展開していたように思われる。

ということで、「キャリアサポート室」みたいなものがあったとしても、相変わらずたいして活用されないのではないか、と思う。いや活用はするかもしれないが、少なくともそこに「頼る」みたいなことはしない、といったほうがよいのかもしれない。

確かに昔と今は違うのかもしれない。しかしそうだとしても、学内でも優秀(何を持って優秀かはとりあえず置いておいて。)な連中であれば、まず間違いなくキャリアサポート室などあてにしないだろうし、したとしても、せいぜい資料を取りに行くとかそんな程度に参考にするくらいであろう。そもそもいちいち大学なんて頼らないで自分で何とかする人たちだから。

もちろん、この年齢なら十分社会に通用する「学歴」パワーを適度に利用するのも忘れないであろう。最近は、インターンシップなど活動時期がとても早まっているとはいえ、情報収集が遅れそれに乗り遅れたとしても、自ら考え、「学歴」パワーを発揮して適応しようとすることも十分できるはず。特に外資系のコンサル・金融機関などには今でも有効ではなかろうか。彼らは優秀な人材と思えばどんな時期でもあってくれるものだ。(というか単に高学歴人間が大好きなだけかも。)

実際、自分もちょこっとだけ就活をしたときは、特にとりあえず興味本位で連絡してみた外資系金融機関は、一切の例外なく、通常の新卒のルーティーンでなかったにも関わらず、そしていわゆる就職氷河期(2001年)にも関わらず、とりあえず人事部から履歴書を送ってくれないかと口をそろえて言われた。

日系は微妙かもしれないけれど、例外もあるにはあるはず。たとえば僕が最初に入った会社は日系の投資顧問会社だったけど、いきなり人事部に電話するという形のコンタクトから始まり、あれよあれよというまに面接が設定され、結果、10日あまりで内定をもらったのである。(あまりに早すぎたので、半ば「ネタ」になるとして即OKしてしまったが…、よかったかどうかはなんともいえない。)

確かに自分の例は特殊かもしれないが、よくよく考えてみるときっとみんなもそれぞれ違った特殊な形で、それが評価されて、内定をもらったのだと思う。なので、そういう意味では僕自分もあくまでも普通だったのかもしれない。

このように考えれば、多くの人はおそらく、手に入る情報はその状況下では多少の良し悪しはあったにせよ、自分自身でよく考え処理し、積極的に活用して、オリジナルな活動の糧にしたと想像することができるであろう。そんな人たちにとってみれば、大学の就職課やリクナビといったツールはそれなりに貴重な一つの情報源として重宝したに違いない。

僕の視点も確かに狭いのかもしれないが、想像するに、いろいろな情報を入手してそれを自己流にアレンジして就活にチャレンジしている学生も多いというか実はそれが普通なのでは、と思う。

本書はこうした視点を一切考慮できていない気がする。これこそ、学歴コンプレックスの塊と思ってしまう所以なのだと思う。素直に多種多様性を認めて、そうした視点でかけばよいだけなのに…。

いずれのケースもやっぱり「バカヤロー」なんて言えない。

だって、この彼も僕の友人も含めてだけど、多くの人は、たとえ大人からバカよばわりされようとも、自分の人生をかけて必死に駆け抜けようとしているのだから…。

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